京菓子展
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TOP / 2026年展示会「寛永行幸絵巻」 / 審査員総評

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熊倉 功夫

熊倉 功夫MIHO MUSEUM館長
<審査員長>

今年度の茶席菓子実作部門の充実ぶりには目をみはるものがありました。とりあえず三作品を推薦しましたが、ほかにどれを選ぶか迷うものが少なくとも二点あり、困りました。出品者をみると、やはりプロの出品が増えてきて、それなりに作品の質があがってきている結果です。かといってプロの作品が全体を圧倒しているわけではないのが、また面白いところです。しばらくはこの方向ですすむことになりましょう。
デザイン部門は、もっと思い切ったデザインが欲しいと思います。学生部門も含めて、もっと応募が増えるように、PRが必要なのかもしれません。

家塚 智子

家塚 智子宇治市源氏物語ミュージアム
館長

今年の京菓子展のテーマは「寛永行幸絵巻」ということで、どのような作品に出会えるか、大変楽しみにしていました。
近年の傾向として、実作部門では意外な味わいのものが多く、楽しませていただきました。味わいや素材へのこだわりも魅力的です。
一方で、似たような印象を受ける作品や、過去の受賞作品を参考にしたと思われる作品も、多く見受けられました。この京菓子展から手本となるデザインや技法が生み出されていることは、喜ばしいことです。ただ、同じ「型」であっても、今回の「寛永行幸絵巻」というテーマに沿ったデザイン、オリジナル性は必要だと感じました。
寛永行幸に関係した先人たち、京菓子を作る人々、そして京菓子をいただく私たちが、京菓子を愛でながら対話できること。それがこの「京菓子デザイン公募展」の魅力であり、強みです。そして今年は、「絵巻」というテーマのもと、作品が一堂に会する展覧会は、さぞや壮観になると期待しています。是非会場でご覧いただきたいと思います。私も楽しみにしています。

笹岡 隆甫

笹岡 隆甫華道「未生流笹岡」家元

「寛永行幸絵巻」をテーマに、それぞれが独自の解釈をもって挑んだ意欲的な作品が並んだ。毎年尖った作品に出会えるのが本展の楽しみだが、今年は全体の造形的なインパクトというよりも、素材の味わいや精緻な手仕事の魅力が際立っていた。
一風変わった香りの作品も見られた。味わいにはまだ試行錯誤の余地を感じるものの、これまでにない新たな挑戦という意味で、今後の展開が楽しみである。

鈴木 宗博

鈴木 宗博菓子研究家

毎年タイトルに応じた菓子、または季節感を感じる菓子など多くの作品を拝見させて頂き、次々と出てくる皆さんのアイデアを楽しみにしております。
毎回難しいタイトルにも感じますが、皆さんがそれぞれに読み解いて表現される菓子には、思いが詰まった形や味があり、年々進化している様な気もいたします。
ただ、販売される菓子は楽しい思いや美しい季節感と言うものが多いのですが、公募のデザインテーマによっては逆にダークな部分で表現される方もおられ、デザインする発想の幅広さを感じます。
今回の「寛永行幸絵巻」は落ち着いた色合いの中に華やかさを感じる作品が多く、御所から二条城まで繋がった行幸の壮大さと言うよりは、衣装に焦点を置いた作品が多かった様にも思います。

廣瀬 千紗子

廣瀬 千紗子同志社女子大学
名誉教授

行幸という歴史的イベントをテーマに京菓子を作るのは、なかなかの難題であろうが、応募された方々は実によく下調べをされ、趣旨を汲んで、思いを作品に託して下さった。五日間にわたる天皇行幸は壮大な〈もてなし〉といえようが、対極にあるのは、一客一亭のような、最小単位の濃密な茶の湯の場合である。しかし、いかに規模が膨大であっても、だからこそ、細部にわたるまで妥協のない配慮を巡らせるのも、窮極の〈もてなし〉であろう。並大抵のことではない。
その点で、この度、大賞を受賞された「DATE紫」は、壮大なイベントの中に、後水尾天皇と伊達政宗の隠れたドラマを見る、というコンセプトが斬新で、素材が工夫された餡とこなしが、シャープな造形と一体になり、〈もてなし〉のドラマが表現されていた。
また、受賞は逸したが、抽象的な造形が善しとされる京菓子のなかで、「盛儀」は堂々たる具象を貫く。丁寧な細工で色と形を明確にし、「盛儀」にふさわしい品格を保つその完成度の高さには、捨てがたいものがあった。

野﨑 貴典

野﨑 貴典古典の日推進委員会
ゼネラルプロデューサー

実作部門全体として作品のレベルは高かったと思う。それぞれの「寛永行幸絵巻」のイメージを形にし、工夫が凝らされ、審査員の票がこれまでになく割れるほど完成された作品が多かった。デザイン部門では半数が学生の応募で、和菓子文化のすそ野の広がりという点でうれしい。作品はデッサン的なものから実作品に近いものまで幅が広く選ぶのが悩ましい。
その中で、テーマ性、色遣い、姿形、茶席での存在感に加え、実作部門では味わい、デザイン部門では実作での再現性を加味して選ばせていただきました。
選考しながら、和菓子に限らず伝統を守っていくためには、作る技術の継承とともに、広める努力と食べる(使う)側の伝統を大切にする意識が大事なことと改めて感じました。

暦本 純一

暦本 純一ソニーコンピュータサイエンス
研究所 シニアフェロー

今年で400周年となる寛永行幸は、江戸幕府初期における一大行事であると共に、寛永文化が花開いた時期でもありました。寄せられた作品は、歴史的背景を紐解くもの、新たな食材に挑戦するものなど多彩で、京菓子の伝統世界をさらに広げてくれるものが目を引きました。寛永の時代精神を今に伝えながら、未来へ向かう京菓子の広がりを実感する、意義深い展覧会となりました。

実方 葉子

実方 葉子泉屋博古館
学芸部長

「寛永行幸」という極めてハードルの高いテーマでその成果を危惧していたが、それはまったくの杞憂だった。応募者は入念な調査のうえ、それぞれの視点でまとめられ、審査では菓子を通じた知的遊戯を存分に楽しめた。異国の素材を取り入れる工夫も、海外交易が活発だった寛永にふさわしい。そのなかで味、姿、物語性の三位一体をもとめる京菓子創作の奥深さを再認識させられた。今回の成果は、京菓子がなお豊かな表現領域を持つことを示すものであり、次回もまた新たな視点と挑戦が生まれることを期待したい。

西山 剛

西山 剛大谷大学国際学部 講師

「寛永行幸絵巻」というテーマに対し、独自の視点と豊かな創意工夫に満ちた作品が数多く揃いました。具象から抽象までアプローチの振れ幅は多彩でありながら、いずれも京都の歴史と風土に深く根ざした世界観を見事に和菓子へと具現化しており、審査を通じて胸躍るひとときとなりました。また、アジアをはじめ海外の作家が集い、歴史と文化を介して国境を越えて作品表現をするということも大変印象的に感じました。多様な美意識を受け止める土壌として発展してきた和菓子の奥深い可能性にあらためて感銘を受けました。

西脇 隆俊

西脇 隆俊京都府知事

今回のテーマである「寛永行幸絵巻」は、後水尾天皇の二条城行幸という歴史的な出来事を描いた壮大な絵巻であり、その華やかさや雅やかな世界観を京菓子で表現することは、大変難しい挑戦であったと思います。そのような中、応募作品の一つひとつから、絵巻に描かれた情景や人物の姿、当時の文化や美意識を丁寧に読み解き、それぞれの感性で表現しようとする創意工夫が感じられ、大変感銘を受けました。
京菓子は、長い歴史の中で京都の文化や美意識を受け継ぎ、発展してきた大切な文化の一つです。単なる菓子として味わうだけでなく、その姿や色彩、季節感、さらには作品に込められた物語や想いを楽しむことができます。今回の公募は、歴史や文化を作者が新たな視点で捉え、それを京菓子という形で表現する機会となっており、京菓子文化の可能性を広げる大変意義深い取組であると感じております。
また、京菓子に携わる職人の皆様はもちろんのこと、学生をはじめ幅広い世代の方々からご応募いただいたことを大変嬉しく思います。様々な立場や視点から生み出された作品は、京菓子の新たな魅力や可能性を私たちに示してくれました。この公募を通じて、より多くの方々が京菓子と京都の歴史文化に親しみ、その魅力を次代へと受け継いでいく契機となることを期待しております。

松井 孝治

松井 孝治京都市長

京都の伝統文化や精神性を宿す京菓子は、四季の美と物語が手のひらの上に結実した、至高の芸術品です。京菓子展2026では、寛永文化をテーマとして、全国から612作品もの熱意あるご応募をいただき、今回、一次審査を通過した精鋭50作品を審査させていただきました。
応募作品ひとつひとつから、京都の菓子文化が紡いできた歴史や伝統の厚みが感じられました。また、絵巻の世界観を現代の感性で昇華させた印象的な表現はどれも素晴らしく、京菓子の確かな未来を感じられたひと時となりました。
伝統を守りつつ新たな息吹を吹き込んでくださったすべての応募者の皆様、そして主催の有斐斎弘道館をはじめ関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

川田 翔子

川田 翔子八幡市長

今年の京菓子展は、寛永行幸から四百年という大きな節目を記念して、「寛永行幸絵巻」という壮大なテーマでありました。寛永行幸を彩った数多の催しや、その後に繋がる文化的・歴史的意義、関わった人々、背景などを紐解いていけば、その裾野の広さと要素の多さは枚挙に暇がありません。
そして「京菓子」は、ちいさなひと皿の上という限られた舞台の上、限られた手法での表現主体ではありますが、その控えめで可愛らしい姿に反して、沢山の情報を見る人に雄弁に語りかけ、お茶席の皆様と時空をも越えたテーマを共有する立役者にもなります。 本年の応募作品も、時代的背景や事象、美意識といった抽象度の高いものから具体的なモチーフまで、様々な要素を銘々の解釈により切り取り表現された、素晴らしいものばかりでした。こうした京菓子を見て、味わい、語り合うことにより、私たちの心は、何度でも四百年の時空を越えて「寛永行幸」の場へ旅立つことができます。参加者の皆様、今年も素晴らしい作品をありがとうございました。
本展が毎年、こうした京菓子のさらなる可能性を希求する数多くの応募作品の切磋琢磨の場となっていることを大変喜ばしく思います。今後も益々の発展を祈念申し上げます。

濱崎 加奈子

濱崎 加奈子有斐斎弘道館 代表理事

江戸時代、有斐斎弘道館の住所は「中立売通 室町西入」でした。その「中立売通」とは、まさに、寛永行幸の行列が通った道です。寛永行幸は、江戸時代を通して人々の記憶に刻まれるほど大きな行事でしたので、弘道館があった江戸中後期においても、皆川淇園も、また三千人にも及ぶ門下生たちも、弘道館のある場所が寛永行幸の道であることを認識していたことでしょう。かつてここに、行幸のために全国から大名が京都に集ったように、四百年前に思いを馳せる菓子が全国から集まりました。寛永行幸の時代、天皇も将軍も大名も茶の湯をたしなみ、千宗旦、小堀遠州、金森宗和といった、現代にも名を馳せる茶人たちが活躍しました。四百年前の寛永行幸、寛永文化の時代があったからこそ、京菓子の豊かな世界が育まれたことに感謝し、一つ一つの菓子を味わっていたければと思います。

京菓子展

「京の菓子文化」は2017年に
”京都をつなぐ無形文化遺産”に選定されました。

企画・運営

公益財団法人 有斐斎弘道館

公益財団法人 有斐斎弘道館

〒 602-8006
京都市上京区上長者町通新町東入る元土御門町 524-1

▶ TEL&FAX:075-441-6662

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